ドワンゴが就職活動のエントリーを有料制にしましたね。世の中では賛否両論ですが、私個人的には大賛成です。多くの企業で取り入れていただければいいなと思っています。
賛成の理由
- 物理的に100社も受けられなくなるので、優秀層が内定をかっぱらうとか、
100社受けても内定ゼロで自殺とかがなくなる - そもそもやみくもにエントリーして、本当にその会社で働く気があるとは思えない
- 採用側の負担はどうでも良いが、受験者が本当に働きたい会社のエントリーに力を入れられるようになる
そもそも学校の入学試験なんて受験料数万円かかるわけですから、ドワンゴのニコニコ円(2,525円)は上記の目的にあった高すぎず安すぎずの適正な価格であるとも思っています。
大企業や就活での人気企業がこの施策を打つことで、記念受験や「人気だからとりあえず受ける」⇒企業側もそういう人には受けてほしくないという場合には高い効果があるでしょう。しかしながら良いことばかりの施策でもありません。
認知度の低い企業には向かい風に
相対的にみてBtoB企業の方が、BtoC企業に比べて学生からの認知度は低いです。世間体から認知度を一つの会社選びの基準にしている学生は多くいるでしょうし、そんなつもりはなくてもやはり目に付くのは名の良く知った企業だと思います。
そんな中全ての企業が受験を有料化した場合には、「あと一社受けよう。A社とB社のどちらにしようか」という選択になれば認知度の高いA社が選ばれやすくなり、認知度の低いB社にはこれまで以上にエントリーが少なくなるでしょう。
そもそもBtoC企業の人気が高い理由の一つに「仕事のイメージがしやすい」というものがあります。こればかりはやはり揺るぎなくて、BtoBのSIerよりも家電メーカーの仕事の方がイメージしやすく、自分に向いているかの判断もしやすいものです。ただイメージできない仕事については、自分に合う合わないの判断をする前の段階であって、エントリーをしてプロセスを進めていく中で徐々にイメージが沸いて判断する場合もあるでしょう。そういうプロセスでマッチングに成功するケースはかなり減っていくのだろうなという懸念があります。
そもそも(今日はなんだかソモソモばかりです)就活人気企業ランキングなどを見てみると、「本当にその会社に入りたいの?」という会社が多いです。半沢直樹であれだけ内部のダメダメさが露呈された今でも銀行の強さは相変わらずです。問題続きのみずほはさすがに順位を落としましたが、それでも18位です。
先日お会いした銀行員の方(4年目)の人に「私、働くって楽しいぜというブログをやってるんですが、銀行って楽しいですか?」と聞いたら楽しくないと断言していました。やらされ感、でかい故のしがらみなど、楽しもうと思っても楽しめない文化が強くあるとのこと。
個人的には「そんなん入る前から分かってたやろ!」と思うのですが、どうなんでしょ。責めるつもりはないのでそこまで聞きませんでしたが、年内にもう一度会う予定なので聞いてみます。ちなみに債権回収やってるとのことで、まさに半沢ライクな世界とのことでした。
入りたい企業、自分の頭で考えていますか?
結局、自分の頭で考えてるかどうかに尽きると思うんです。親が「銀行なら安泰よ」と言ったからそれを信じて「銀行に行きたい」と思っていませんか?世間では「商社マンがモテるらしい」と言われているから「やっぱ男は商社でしょ」とか思っていませんか。商社の仕事が何か知っていますか?本当にその仕事に対して向こう何年か、やりきる自信があるのですか。
それとも「俺は東大出たから、××クラスの企業に入らなきゃ」とか思っていませんか。
どれも自分の前に誰かの価値観があって、それに自分を合わせているだけの考えです。
商社マンがモテなくなっても(もう随分モテ伝説は消滅していますが)商社マンである自分を誇りに思えますか?
金融ショックが起きて銀行がバタバタ倒れても、それまでの人生、銀行マンで良かったと思えますか?
安定だと思って入行したけど安定が崩れたとき、他の誰かのせいにせずに、自分で選んだ道だからと納得できますか?
ということで、自分でお金を出して入社試験を受ける時には、コレまで以上に「その会社に入りたいのかどうか」を考えられるようになると思うので、賛成です。日本全体の動きになればよいと思っています。
ただ前述のとおり、全ての企業がハッピーになるかというとそうではないです。他にも「事業拡大中でできるだけ多く採用したい」という会社もあるかもしれません。そういう場合には企業側も学生側も得をしませんから受験料はマッチしません。
「世界中が全てハッピーになるような施策だ」とは思いませんが、有る程度自由を持たせた上で、絞りたいところは受験料を課す、「もっと多くの人がウチにエントリーしてよ」と思ってる会社は無料で行うという感じにしたらどうでしょうかね。