タイトルに疑問を抱かれた方も多いと思います。この「プライベートを仕事に持ち込むな」という発想は当たり前のようにサラリーマンには突きつけられます。ですが、よく考えてください。
成果が出ているときにこの台詞は言われないですよね?
つまり、プライベートで良くないことがあって、仕事に悪影響を及ぼすというケースのみ「プライベートを持ち込むな!」と怒られ、プライベートで良いことがあって、仕事に好影響を及ぼすというケースでは「プライベートを持ち込むな」とは言われない。
これって不公平じゃないでしょうか???
人間、バイオリズムのようにプライベートにだって良いことと悪いことがおきます。そして多くの場合、良いことは仕事にも良い影響を及ぼし、悪いことはその逆です。ときどき「彼女に振られて、もう仕事に思いっきり打ち込んでやる!!」と仕事で思いのほか成果が出ることがありますが、振られたときには落ち込んで調子がダウンする人が多いのではないでしょうか。
自分の持てる力が100だとして、調子の良いときには自らサービス残業を打って出るほど「自分、仕事に燃えてますから!」といって通常以上の成果である120の成果を出すことがあるでしょう。反対にプライベートが気になってちょっとうわの空で80の成果しか出ないこともあるでしょう。それで良いではありませんか!と私は思うのです。人間らしいじゃないですか。それがイヤなら人間に仕事をさせなければ良いのだとおもいます。人間に仕事を任せるからモチベーションという概念が生じ、それにより成果にも影響が出てくる。そういうものだと受け止めるべきだと私は思います。
◇それでも合格ラインを知っておくべき◇
ですが、自分の仕事で合格点を下回る成果しか出せないのであれば、それはダメだと思います。あくまで上に書いたことは「プロフェッショナルとして認められる範囲で」という話になります。例えばお医者さんが分かりやすいから例に出します。院内のルールで提出しなければならない報告書が遅れてしまうというミスと、手術での医療ミスでは、同じ失敗でも雲泥の差です。もちろん医療ミスは患者の命を危険にさらすものであり、もっとも犯してはならないミスの1つです。うわの空になってしまっていて「このまま執刀したらミスが起きるであろう」という状態は避けるべきですし、もしそうなれば代わりを探すという手段に出るのも、1つのプロフェッショナルの姿だと思います。それに対して、「ちょっと書類を書くのに乗り気でなく、明日にまわそう」というのは可愛いものだと思います。
80点というのはひとつの例ですが、どんな仕事にも100点とはいえなくとも合格ラインであるというものは存在するはずです。その合格点が取れるならばプライベートによる影響は「仕方ない」と割り切ってよいとおもっています。その代わり調子の良いときには120点を出すということはもちろん大事です。でないとその人のアベレージは100ではなく95とか90という風に落ちていってしまいます。
プロフェッショナルとは常に優勝できる人ではないと思っています。
致命的な(会社に打撃を与えるような)ミスをせず、アベレージが高いというだけで立派な成果だと思います。
◇プライベートが仕事に影響するという前提で、プライベートを充実させるという発想◇
逆の発想ですが、プライベートが仕事に影響するということを前提にすると「プライベートを充実させ、より良い成果が出る機会を増やす」というのは1つの発想です。というか、自分自身でビジネスをする人はこういう発想の人が多いと思います。企業家や個人事業主にはゲンを担ぐ人も多いです。つまり自分の実力以外のところでも、なんとか成果に結びつけるための努力をしているのです。なぜなら成果が自分の得られる報酬に直結するからです。
そういう意味ではサラリーマンは少しヌルい気がしていますが、安定した公私のバランスを取りつつ、長く安定した労働力を提供するということも大切です。
自分自身の働き方を考え、自分が会社や社会にナニを提供できるのかなどを考えてみると面白いかもしれません。
最近、社畜だと思われている節があるのですが「違うんだぞ」という思いを込めて、こういう発想の記事を書いてみました。「『働くって楽しいぜ!』の安東は社畜だ」と思っている方はこのエントリーもご覧いただければと思います。
【働くって楽しいぜ!】は、断じて「社畜になれ」という意味ではない!