来たれ!残業代ゼロの社会(ホワイトカラー・エグゼンプション)

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皆、ホワイトカラーを時間で管理するというアホらしさに気づいていない
仕事中サボるのはいけないが、本当はサボっても良いはずである。

私はホワイトカラー・エグゼンプションは核技術に似ていると考えています。

核は莫大なエネルギーを生み出せますが、使い方によっては人間を殺すこともできますし人間を救うことだってできます。映画ザ・コアでは核技術が世界を救ったと皮肉をいっていますね。

つまりホワイトカラー・エグゼンプションも使い方次第で労働者にとって、日本経済にとって良い影響も悪い影響ももたらしかねないと考えています。

安部政権ではかなり実施にこぎつけようとしているらしく、近々年収800万円以上といったラインを設けて実験的に導入する予定であることも報道されています。

まずホワイトカラー・エグゼンプションとは何ぞやということですね。誤解を恐れずにとても簡単に表現をすると「ホワイトカラーについては労働時間の規制を免除しよう」というものです。労働時間の規制とは1日8時間、週40時間以上働かせてはならないといった使用者(会社側)への規制です。つまりホワイトカラー・エグゼンプション制度のもとでは、使用者は何時間働かせてもお役所から怒られたりすることはなくなるというものです。

どうです?ゾッとしました?

悪法に見えるかもしれませんが、別にそういうわけではありません。メリットも十分にありますからそれも踏まえて説明をしていきます。


最悪のシナリオは次の通りでしょう。

おかみの規制がなくなったことを良いことに「もっと働け!仕事が終わるまで帰さんぞ!」と会社側が横暴になる。そして地下鉄24時間化もあって「終電なので帰ります」という言い訳も使えなくなる。
会社側も時間の規制が取っ払われたことためこれまで時間がないからと遠慮をしていた分の仕事も振るようになる。つまり「時間が無いなんて言わせないぞ。寝るヒマがあれば働け。」とすら言うようになる。過労で倒れる人が続出。
会社側は戦力増強のために(そして残業代という人件費がなくなったのでちょっと余裕ができて)新入社員を多く入社させる。しかし先輩社員に比べて生産性の劣る新入社員を「お前らが先輩より勝っているところは体力だけなんだから働け働けー」と、新人をこき使うようになり、リタイア者続出。。。

少し大げさに書いたつもりですが、ブラックと呼ばれる会社の中には、上記が冗談にならない会社もあるようです。まあ労働時間の規制が撤廃されればこのようなシーンも増えていくことでしょう。


さて、ではホワイトカラー・エグゼンプションが上手に展開されればどうなるでしょうか。

まず社員は残業代が出ないため長時間労働の意味がなくなる。だから「早く帰るためにどうしたら良いだろう」と考えるようになり、生産性が向上する。特に残業代目当てにダラダラ仕事をするケースがなくなる。長時間働かないため、社員もより健康的な生活ができるようになる。家族との時間も増えて、家族も仕事をより応援するようになり、幸福度が増す。仕事の時間が減る分、趣味を持つようになったり、英語など自分への投資に時間をより避けるようになる。残業自体を規制されていないので、「ここは頑張りたい」と思ったときには気兼ねなく(上司に許可をとったり面倒くさいことがなく)残業ができる。残業代を支払わなくて良い分、会社も基本給を上げられる。

これはほとんど私が以前に書いた日本人はなぜ仕事の効率が悪いのか?海外と比較して解決策を探すで書いた悩みを解消したものとなっています。あと足りないのは「先輩が残業しているから帰りづらい」というものでしょうか。

そもそも長時間労働は生産性は上がらない(単純に時間を掛けることで生産量を増やしている)ので、その後の会社の成長が見込みづらい。そして未来への投資となるような仕事に時間を充てることもできないため、その後の会社の成長は右下がりになることが圧倒的に多いです。

何を隠そう、私と私の周囲の人間の働き方は(もちろんおかみから認可を受けた)裁量労働制です。つまりホワイトカラー・エグゼンプションに近いです。そしてその中では次のようなセリフがよく飛び交っています。

  • 長時間働くことは「仕事した」気になってしまうから注意すべき。時間を使うのではなくて、もっと工夫して仕事をしなさい。
  • 早く帰れるなら早く帰れよー。
  • 仕事ができるやつってのは飲み会には遅刻しないんだ。
  • いつも残業するってのは仕事ができないってことだ。

残業代を撤廃(厳密にはエグゼンプションではないのでみなし残業代がそもそもある等、残業代の扱いは存在します。)してもブラックにはならないという例があるという意味で挙げました。

ホワイトカラーエグゼンプションが失敗すれば、日本は労働において無法地帯となる会社が多いでしょう。そしてそこで働く社員は働きがいを感じられず仕事がつまらなくなり、そして収入も減ってしまうことでしょう。簡単にいうと不幸になるでしょう。

しかし社会全体、そして会社の中ででも「長時間労働は良くない。」という意識が根付けばブラックにはならず、多くの人が自分の時間をより持てるようになります。そしてさすがに生活水準を下げないためにいままで払われていた残業代の何%かは基本給に組み込まれるでしょうから、その点は安心してよいと思います。

未だに存在する「長く頑張ったやつは偉い」みたいな悪しき風習を止めるチャンスがこのホワイトカラー・エグゼンプションだと思っています。単に「もっと残業させられそう」と否定するのではなく、社会全体でどうしていったら良いか前向きに議論していきたいものです。

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