特にホワイトカラーに言えることですが、今日の仕事というのはマニュアルが揃っていてそれ通りにこなせば良いかというと、そうではありません。マニュアルに載っていない例外なんて山ほどありますし、お役所などでない限り時にはマニュアルを無視して別の判断をしたほうがよいケースだってあります。
ここで肝心なことは「多くの仕事では判断が必要になる」ということです。
その際に適切な判断ができるかどうか、適切な判断をするために適切に頭を使ったかどうかという点が重要になります。究極を言えば「どういう頭の使い方をすれば良いか」が身につくと、あらゆる例外対応や瞬時の判断が必要な状況においても適切な判断をして乗り越えられることが多いです。
ということで、始めにお伝えしておきますがこの記事でお伝えしたい内容は「どうやって頭の使い方を覚えるか」という点です。マニュアルを覚えるスピードを高める方法ではありません。
◇常に周囲の会話に耳を傾ける!◇
この記事で伝えたいことはこれに尽きます。「周囲の会話に耳を傾けましょう!」ということです。メールを書いているときも、何か作業をしているときも、周囲の会話を閉ざすのではなく聞くのです。意識するのは次の点です。
- 会話の全てを覚えるくらい必要はない。まずは何を話しているのかを聞くことが大事。
- 自分にも関係がありそうだと思ったら、さらに耳を傾ける。
- 関係がないと思っても、「小橋さんが練馬店新規オープンの話をしていたな」という情報だけ頭の片隅に入れておく。
まず2についてです。これがもっとも重要です。たとえばお客様からお電話でクレームがあって、その対応を隣の席の亀山さんが行ったとします。そのとき自分は別の仕事をしていたとしても、その電話の内容を聞くのです。お客様の声は聞こえませんが、会話から推測しましょう。
ここで、自分だったらどうするかなと考えるのです。「亀山さんはすぐに上司に対応をさせたけど、私ならもう少し自分でできる提案をするかな」とか。そしてその後の上司と亀山さんの会話も同様に聞くのです。
特に上司と同僚が話している会話は重要です。次のような観点で会話が繰り広げられるでしょう。
- その判断をした根拠は?(なぜその判断をした?)
- そこで亀山君はどのように考えた?
- こういうケースだったらどうだろう?
これを自分も考えながら聞くのです。「自分だったらどうするだろう?」と。
そしてその後に上司(自分より経験もあって少なくとも判断能力は上でしょう)の考えも聞けるでしょうから聞くのです。
亀山さんの頭の使い方、上司の頭の使い方、自分の頭の使い方、それぞれ微妙に違った点もあるでしょうし、自分だけでなく人の考えを聞くことでそれまで無かった視点を取り入れられるはずです。特に上司の頭の使い方はかなり応用がきくことが多いので注意深く聞きましょう。今度自分が判断に迷うようなことがあった場合に「杉下さんならどう判断するだろう?」と考えるだけで視野がグッと開けます。一度試してみてください。
◇人が怒られているときこそ、聞く!◇
怒られている会話を聞くことはもっとも吸収できることが多いです。人は一度自分が怒られたことをなかなか二度は繰り返しません。でもとなりの人がやってしまったミスを自分がしてしまうという経験はあるかと思います。
「隣の人が怒られているとき、自分が怒られているかのようにその会話を聞く」ことができれば、他人のミスも自分は二度と起こさないための頭の使い方が出来るようになります。
人は失敗したときほど成長するといいますが、他人の失敗も自分の成長の糧にしてしまうという、ちょっと強欲な考え方を身につけてみましょう。(別に悪いことじゃないですからね)
そもそもみんなの前で部下を怒るという姿勢は周囲の人間にも同じことをしたらダメなんだぞと見せる意味もあるのだと思います。ガンガンとそこに入り込んでいってやりましょう。
◇自分に関係ない話は頭の片隅に◇
とはいえいつもいつも他人の会話を聞いていては自分の仕事が進みませんから、「これは自分には関係ない」と切ることも大切です。ただしその際にひとつだけ、「誰が何の話をしていたか」を覚えておくのです。それだけで自分が同じ事象と遭遇したときに「あー小橋さんに聞けば何かが分かるかも」と前進することができます。
◇最後に◇
いかがでしたでしょうか。早速周囲の会話に耳を傾けてみてください。同僚の判断や同僚の経験、上司の頭の使い方を上手に自分の仕事に取り入れていくことが、特に若い社員にとっては早く成果を上げるために必要かと思います。
ちなみにはじめ、「地獄耳になろう!」っていうタイトルにするつもりだったんです。「遠くの会話も聞こえている」というのが地獄耳の意味だと思っていました。でも辞書では
- 人の秘密などをいちはやく聞き込んでいること。また、そういう人。
- 一度聞いたことをいつまでも覚えていること。また、そういう人。